7月9日(火)
朝からジヴェルニーに向かう。
パリから西へ80キロほどのところにある、ノルマンディー地方のジヴェルニーは、豊かな自然のあふれるセーヌ川流域の小さな町である。
印象派の巨匠クロード・モネが移り住み、40年以上の歳月を過ごした土地として広く知られている。
モネの館に入ると、彼の多数の浮世絵コレクションにあらためて驚かされる。
又、日本庭園を歩きながら、その美しさに感動を覚える。
睡蓮の池はそれ自体が生きた絵画であり、あたかも時代を超越した異次元の世界に吸い込まれるかのような錯覚を覚える。
モネはこの庭の時間や季節によっての光の変化を単に写実的にとらえるのではなく、自分の魂が感じるように素直に描写したのではないかと思う。
それが、20世紀の絵画の重要な変革期と合致して、多くの賛同者と共に新しい時代を築いて行ったのであろう。
宗教的な絵画から写実的な肖像画、そして印象派の変遷を振り返るとき、現在においても同じようにエネルギーが蓄積されて、21世紀にも新たなる表現方法が見出されるに違いない。
感じたままを描写する感性こそ魂との対話に他ならない。
それは、時代や国籍、性別、血縁とのしがらみを超越して、新しい次元への幕開けに他ならない。
そう思いながら、21世紀の魂の発露としての他分野での創造革命に期待を持ちながら、ジヴェルニーを後にした。